吉松 秀樹(建築家) 古平 正義(デザイナー) |
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■ | つなぐ | |||
◎ 灰塚ダムによってつながれる3町エリア | ||||
灰塚ダムの堤体は三良坂町エリアに建設されますが、実際には険しい谷状地に位置し、比較的見えにくい堤体となることが予想できます。 従ってダム完成後には三良坂町エリアを中心として広がるダム湖によって視覚的にダムエリアはつながれていくと考えていいかもしれません。 しかし、高水敷が多くなる総領町、吉舎町部分もまた新設される県道、管理道路によってダムエリアとして整備され、風景が変わっていきます。 |
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新しい灰塚ダムエリアの地域の個性作りを考える時、こういった地形特性に十二分に注意して考えていかなくてはなりません。 灰塚ダムが建設されることによって、刷新されるエリアの個性をプラス思考で考えていくためには、こういった地形的な分断をできるだけ見えなくしていくことが重要ではないでしょうか。 灰塚ダムによって「つながれる」ことを積極的に考えていくCIの考え方です。 |
■ | 見えないダム |
◎ ダムにとらわれないイメージ作り | |
龍の形のように入り組んだ地形となっている灰塚ダムエリアは、全体像を把握しにくいダムであるといえるでしょう。 また堤体やダム湖などが見えない場所や道路も多く、全体的なつながりを確保していくためには、ダム堤体やダム湖といったイメージからネーミング、個性を全体に広げていく考え方はあまり相応しくないエリアや地形であると考えられます。 実際には3町エリアとも緑深い森といった地区の方が多く、全体的な個性としては森や緑といったイメージの方が灰塚ダムエリアの特性をよく表していると考えられます。 こういったイメージを全体の地域特性として全面に出し、そのなかにダム堤体やダム湖、公園、施設などがあるといった考え方を選択する方法が、灰塚ダムエリアにおいては相応しいCIの考え方といえるでしょう。 |
■ | 水・緑・芸術 | |||
◎ 水と緑と芸術を楽しむ環境づくり | ||||
各町の再建実行計画等の際のヒアリングやアンケート、そしてアースワークプロジェクトにおけるヒアリングなどの際に様々な灰塚ダムエリアに対するイメージや意見が出されています。 その多くは、やはり灰塚の緑や動植物などに対するものであり、灰塚の人たちにとって自然が重要な位置を占めていることが伺えます。 こういったイメージ調査から、灰塚ダムエリアにおける基本的な考え方(理念)としては、「地域づくりの舞台となるダム」「里の環境に調和するダム」「地域とともに創るダム」「将来に伝え残されるダム」などが案としてあげられてきています。 これらの要素を取り入れたキャッチフレーズ案として出てきているのが「水と緑と芸術を楽しむ環境づくり」です。 ここでは、灰塚の個性としての自然、そしてダム湖、新しい個性としてのアースワーク(環境芸術)活動を3つの柱として考えています。 |
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■ | アースワークの杜 |
◎ 水・緑・芸術の杜 | |
「水と緑と芸術を楽しむ環境づくり」といったようなキャッチコピーをうけて、灰塚ダム全体のイメージとなる名称を考え、それらに相応しいマークやロゴを決定していかなくてはなりません。 今回のCI計画においては、灰塚全体の考え方を提案する意味において、いままでの名称を一新する考え方の一例として「アースワークの杜」を提案いたします。 「アースワーク」という言葉が新しい灰塚のイメージに相応しいかは判断をしていただくとして、こういった新しい地域特性を表す言葉と全体をくくる言葉としての「杜」をあわせた名称が灰塚のCIとしては相応しいと考えました。 なおこの「杜」は、緑のみならず湿地、動植物といったイメージが含まれた言葉として選ばれているものです。 この杜のなかに〜〜湖や〜〜ダムや〜〜ゴルフ場や〜〜公園があるといったイメージです。 |