@ EARTHWORKS NEWS - No.24 '98/09/15
町中を美術館に
 町中を美術館にと、8月24日〜9月6日に行われたアートスフィア灰塚98。参加した方たちの感想を特集してみました。
 今年は、サマーキャンプに引き続いて芸術祭を企画しました。町巡り展覧会、作品ホームステイは初めての試みです。
 灰塚ダムエリアの三良坂・吉舎・総領の方たちが隣りの町に出かけて、作品を見ながら交流できたら、と三町のあちこちに作品を展示しました。
 「近所の人たちがたくさん見にこられた」というホームステイ先の方。自宅の作品を説明してくださったおじいさん、おばあさん。
 バスで巡るギャラリーツアーに参加した方々から「思いもよらない場所に展示されていて面白かった」「3町ってずいぶん広いんですね。初めて行った場所もあります」という声が寄せられました。みなさんは、どんな所へ行かれましたか。
 また、今年のサマーキャンプは、参加者による現地活動として、民家におじゃましたり、敷地内にテントを張らせてもらったり。芸術祭展示のための準備で町のあちこちを回りました。たくさんの方々にお世話になりありがとうございました。
 総領町のユーシャイン利用者とのバスツアーも実施されました。黒目のスタジオを見学した後、吉舎町のあーとあいきさで大鹿智子さんの展覧会を鑑賞。会場では大鹿さんによるハガキ絵のワークショップで思い思いの絵を水彩で描かれました。

町長さんの椅子に座ったよ
Zoom!  三良坂の町長室に展示された鈴木理策さんの写真を鑑賞した後、町長さんの椅子に座って、町長さん宛の手紙を書いたのは、安田小学校二年生の宮本晃輔君「ゆたかな町にしてください、って書きました。一番良かったのは山の中のお寺(顕徳寺)です。ひまわりを植えたところでジョロを頭にのせて、おじぎをして水をかけたのはおもしろかった。」と話してくれました。

議場の真中に展示
Zoom!  吉舎町議場に展示された作品の様子を職員の平岡淳さんに伝えてもらいました。「レオナルド・ダ・ビンチの設計した砕石機が議場中央に展示してある光景はとても不思議で、面白く見させてもらいました。ぐるぐる回る円盤と、いったりきたりするラック。永久機関を追い求めていた当時の科学者たちの夢と情熱に触れ、工作物ですが美しいと感じました。」
 この作品はアズビー・ブラウンさんの指揮により金沢工業大学夢考房で制作されたもの。

理髪店の壁に絵画
Zoom!  南川史門さんの絵画『風景(ゴミと雪山のイメージ)』を営業している理髪店の壁に飾ってくださったのは、総領町の沢昭志さん。感想を伺うと「最初は何が描いてあるのかわからなかったですね。一週間見続けているうちに、この絵の中に三人の人間が見えて来て、過去・現在・未来を現わしているのかな、と自分なりに解釈しました。家族や近所の人、お客さんたちに見てもらいました。」

『地灸』+『大文字焼』
Zoom!  大地の再生への思いを込めて実施された『地灸』。ダム水没エリアに約60個の山積みにされた草が格子状に並べられました。横には地元の多くの方々の参加による大文字の文字が、廃材や竹で組み上げられました。
 8月30日の夕方、『地灸』による白い煙の海。夜にはその場所から立ち上がる『大文字焼』の赤い炎。ダムエリアという広大な空間を、身近でありながら永遠の場所として捉え直すきっかけとなり、各々の思いにも火がついたかのようでした。

隠れたオブジェクト
Zoom!  3町にはまだまだ面白いもの(オブジェクト)が隠れています。
 今年のサマーキャンプのフィールドワーク活動として、中谷グループでは、総領町を拠点として黒目地区の山歩き、朝山万太郎さん宅の壁の拓本どりなど、人や場所の関係から、ユニークな建物や構築物を見つける演習を行いました。
 夜の講義やこの演習のノウハウは、地元関係者によって今後も発展されそうです。

山の中のお寺に展示
Zoom!  招待作家のお一人、水島大介さんは、旧顕徳寺と八王子神社を二日かけて掃除。電気も水もない中、発電機、ポリタンクなどを運んでの作業でした。「苦労したというより、廃寺を元の姿にして、自分の作品を見てもらいたいという気持ちが強かったですね。その場所をより引き立たせるように展示をする中で、客観的に見れて、作品が新鮮に感じられ嬉しかったです。」と、特異な場所での展示を振り返ってくださいました。

犬が見ている三町の景色
Zoom!  鳴海暢平さんは、三町に飼われている犬に連れられて、それぞれの町を散歩しました。犬の頭には小型カメラ。犬の視点による町案内の映像を、総領町はリストアステーション、吉舎町はXa104で公開。三良坂町は、のぞみが丘のケーブルテレビで放送しました。
 動物愛護家として活動している鳴海さんは、撮影の過程でいろいろな人と小動物が交流することに重点を置いています 「おじいさん、おばあさんとふれ合い、ヘビにも遭遇して面白かったです。」とのこと。
●これからも見れます
 鳴海さんのビデオ作品、ホースムテイ作品のアルバム、展覧会の記録写真、NHK新日曜美術館でとりあげられた映像はアースワークセンターでご覧になれます。ぜひご利用ください。


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