■ 灰塚ダム公開シンポジウム |
灰塚ダム公開シンポジウムでは基調講演とパネルディスカッションを通じて、灰塚ダムの現状とアースワーク活動を取り入れた今後のダムのあり方が話し合われました。参加したのは地元の方や行政関係者など約160人。
東京大学工学部教授の篠原修さんによる基調報告は「近代古典ダムとダム空間のグランドデザインの課題」がテーマ。特徴的なダムについてスライドを使い説明され、明治から大正、昭和の初期につくられたダムは丁寧で美しいという報告がありました。ダムはつくったら50年、100年使うものなので、今いいというだけでなく将来もよいか両方をにらんでやっていくことが大切とまとめられました。
パネルディスカッションでは、広島工業大学教授の森保洋之さんをコーディネーターとして、5人のパネラーがそれぞれの立場からダムについて提言。発言の一部をご紹介します。 |
▼▼ 建設省江の川総合開発工事事務所長の森山利夫さんは、スライドを使ってダムの概要を説明。その中で、通常水がない広い範囲を有効的に利用したり、副ダムをつくって水面を確保するという計画を紹介。続いて予定される工事の中で自然や景観破壊になる恐れのある箇所などを指摘されました。 |
▼▼ 三良坂町企画課長山脇敏幸さんは、三町で取り組んでいるアースワークプロジェクトの活動を中心に発言。ダム周辺整備の単に見事な施設や構築物を作るというハード面ばかりでなく、それがいかに自然、環境と調和し地域社会と共生するかというソフト面こそが灰塚独自の課題だと強調されました。 |
▼▼ 建築家の堀正人さんは、総領町木屋地区の周辺整備事業のデザインを担当されています。全体計画の十分の一の整備が終わり、ハーブ園と自生植物の実験農園として機能している現状を紹介。また林道を計画より15m下げれば、山と谷の風景を損なわない形にできるという提案が、地元の人たちとの要望で受け入れられた成果を発表されました。 |
▼▼ 地元代表の藤井ツキエさんはのぞみが丘にお住まいで『2001委員会』のメンバー。灰塚住民の思いとして、削りとられた山や荒廃したふるさとを見るのは忍びないので、景観づくりに配慮してほしい、ダム湖周辺を桃源郷にしたいとの願いを話されました。 |
▼▼ 財団法人ダム水源地環境整備センターの田口勝也さんは、今年3月に竣工した京都市の日吉ダムをスライドを使い紹介。ダム周辺整備工事でのデザインに配慮されたという施設や構築物が報告されました。 |
最後に森山所長さんから、地域の意見を取り入れたダムであること、地域に開かれたダムであること、地域の自然環境とか文化とかに調和したダムであることの3つの視点で、地域に貢献できるダムづくりを進めて行きたいという力強い発言がされ、閉会となりました。 |