@ EARTHWORKS NEWS - No.29 '99/02/15
第二回総会を開催
 ◇ 中山間ソフト事業に伴う補正予算などを審議
 灰塚アースワークプロジェクト実行委員会の第二回総会が、1月19日、吉舎町中央公民館で開催されました。委員12名、関係者13名が出席しました。
 主な議題は今年度の事業報告、広島県の中山間ソフト事業採択の経緯と内容、アースワーク宣言について。事務局からの経過報告の後、質議応答がされ、続いて、1998年度第一回補正予算案が承認されました。
● 三町共同を評価
 中山間ソフト事業については、アースワークプロジェクトを3町で共同でやっていることが広域型に適応し、プロジェクトに関係のある事業に対し、補助採択されたものです。
● 待望される宣言
 アースワーク宣言は、建設省のダムづくりの基本姿勢・ダム環境整備の方針を示すことや、ダムエリア・3町全体でのイメージづくりをしていくこととし、全体概要と詳細な事項について検討されています。
 これに対し、工事が進んでいて、構造物が出来てしまってからでは遅いのだから、できるだけ早く実現してほしいとの意見が出されました。建設省の森山所長からは、宣言の仕方、その主体の在り方について検討していると説明がありました。
● 今年度中に実施
 補正予算案は、歳入が中山間ソフト事業に伴う増額、河川整備基金の減額、歳出が中山間ソフト事業の4項目(環境景観ガイドライン、周辺環境景観計画、情報システム整備、小さな美術館設置)への支出について審議され、承認されました。
● 全体の計画を公表
 最後に建設省から周辺景観整備計画の素案と工事現況の説明がありました。その中で、3町の再建実行計画、アースワークプロジェクトの行動計画書をベースに、全体の景観整備計画をまとめている、ある程度まとまった段階で公表していくとの意向が示されました。

シリーズ「アースワークの5年間」第2回
 ◇ たくさんの人の交流から生まれるもの
 今月、原稿を寄せてくださった橋本敏子さんは、文化事業や地域計画のお仕事のかたわら、現代美術を中心とした創造活動の支援を行っています。全国のアートプロジェクトに詳しい橋本さんから力強い励ましをいただいたのは灰塚アースワークプロジェクトのソフト事業。
 1994年の『アースワークシンポジウム』を皮切りにダムの景観といったハード事業と平行して、サマーキャンプやワークショップ、アースワークスクールなどのソフト事業を継続してきました(年表参照)。
 灰塚ダム建設地域でアースワークを行う目的として、(1)自然と一体化するアースワークによる文化的な観光資源づくり、(2)訪れる人々とアースワークとの新しい出会いの場づくり、(3)多くのアーティストや関係者が集まる活動の場づくり、(4)アーティストの活動を通した芸術教育への効果、を考えているからです。
 1994年に滞在した作家からは、より良いダム建設とするため最低限考慮しなければならない事柄が『アーティスト共同宣言』にまとめられました。
Zoom!  また5年間を通して16人の作家からさまざまな提案がされました。実現に向けて準備されているものや、提案をきっかけとして別の具体的なプランを考案してもらったり、様々なかたちでこの活動に協力をいただいています。
 サマーキャンプにも毎年、東京方面から美術・建築関係の学生が参加し、灰塚の歴史や文化、地理などを勉強した後、それを生かした作品づくりを行いました。参加学生の提案から生まれた『地灸』は地球にお灸をすえるイベントとして1996年から毎年行われています。
 昨年はサマーキャンプに続けて町中を美術館にという『アートスフィア灰塚』を開催。県の中山間ソフト事業にも認められ今年も開催を予定しています。
◇ アースワークに関わって - プログラムの開発力に感心
ドキュメント2000プロジェクト事務局長 橋本敏子 
 ここ3年、私の夏の終わりは「灰塚アースワークプロジェクト」のファイナルを見に行くことで締めくくられている。96年は滞在制作の作品がとても印象的だった。97年は「地灸」に感動した。そして98年は「作品ホームステイ」と「ひまわり公園のひまわり踊り」が新鮮だった。
 次々繰り出されるプログラム開発力には、持続してゆくなかで内容が陳腐化してゆくアートプロジェクトの多いなかで、さすが智恵者ぞろいのことだけあるといつも感心している。とりわけ、「作品ホームステイ」は秀逸のアイデアだ。食事の心配なし、文句も出ず、それでいて「アートという異物」を家庭・家族のなかに抱え込んでいる状態はまさしくホームステイ。黙っているからこそ想像力によるコミュニケーションが生まれるパラドックスを実にうまく活用し、それに「アートツアー」でお客さんを引き合わせるという仕組みはステイさせた家族の気持ちを晴れやかにする。
 さて、来年はどんな「手」を繰り出してくるのだろうか。そろそろダムの本格工事にアートワークが取り入れられるとのこと。そちらが本体で「アースワーク」が刺身のツマだったということのないよう、私はしっかり見続けたいと思っている。

吉舎町-アースワークスクール
 ◇ ペンキで描く大きな絵
Zoom!  今年度第6回目のアースワークスクールが、1月14日に吉舎小学校で行われました。一・二年生と六年生95人が参加。
 テーマは『大きな絵を描いてみよう』。講師の岡崎乾二郎さんと6人の助手が、体育館中を使って指導しました。
 一・二年生は透明フィルムに思い思いの小さな絵を描き、それをOHP機器でステージの壁に貼った透明シートに大きく写し出します。写し出された絵の上をペンキでなぞり出来上り。透明シートに何人もの絵が重なっていき、大きな一枚の絵が完成しました。六年生は床に広げたシートの上に、直に大きな絵をペンキで描きました。みんなの合作です。
 ハケにペンキをつけ、のびやかに描く様子は楽しそう。床や服につけたペンキの後始末は大変でしたが…。
 最後に、2階の手すりから絵を4枚吊り下げ、鑑賞しました。光を通して見る絵はまた違った表情を見せてくれました。

総領町-アースワーク公園と羽地大橋周辺
 ◇ 模型を前に意見交換・実現へ向けて建設省でも検討中
 1月13日(水)岡崎乾二郎さんを迎え、田総の里でアースワーク公園と羽地大橋周辺に関連する検討会が開催されました。
 また、この検討会を受けて、1月14日(木)江の川総合開発工事事務所において、提案の説明と施工面での課題などについて協議が行われました。
 両日の検討によってアースワーク公園においては、
  1. 旧護岸はできるだけ近自然工法を取り入れる
  2. 田総川の本来的な流れが再現されたような修景を施す
  3. 既存の用水路を改良し、蛍の里づくりを進める
 ことの可能性について話し合いました。
 また、羽地大橋周辺については、1/500 の模型を前に高欄の形状だけでなく橋梁の取付部分を含めた周辺デザインや利用方法などについて協議し、現在、建設省調査設計課・工務課において提案に対する検討作業が行われています。

三良坂町-高欄デザインのイメージを確認
 ◇ 灰塚ダム周辺環境整備等検討会、のぞみが丘で開催
 実行委員会臨時総会以降、ダム周辺整備や中山間ソフト事業関連の協議が各町で実施されています。
 1月19日(火)、吉松秀樹さんを迎え、第一回灰塚ダム周辺環境整備等検討会がのぞみが丘で開催されました。
 周辺景観面では、施工方法などで統一感を持たせ、安全性・生態系への配慮・近自然工法の導入をはかることがまとめられ、灰塚大橋高欄デザインについては、出席者全員のイメージを確認しました。
 また、灰塚ダムに関係するキャッチフレーズやマークなどの統一イメージをつくる作業も始まりました。

商工会主催の研修会-ゲストにPHスタジオ
 1月22日(金)、灰塚ダム及びアースワークプロジェクト活動の位置付けや活用方法について三良坂町商工会主催の研修会が開催されました。
 町企画課からの全体経過と今後の説明の後、ゲスト招待されたPHスタジオ池田修さんによるスライド上映や「船をつくる話」について講演がありました。
 特に「船をつくる話」について様々な意見が飛び交い、盛り上がった研修会となりました。

苫田と日吉ダム視察
 ◇ アースワーク公園の参考に
 2月5日、6日に「田総の里自治会」は、苫田ダムと日吉ダムの視察研修を行いました。
 現在、同会では田総の里の振興計画を策定中で、その計画づくりの一環として田総の里に隣接するアースワーク公園の基本計画を、アースワークプロジェクトと協力しながら進めています。
 今回の研修では、昨秋のシンポジウムを受けて、振興計画でも取り上げようとしているアースワーク公園の参考にするため、特に緑化の工法やデザインを中心に研修を行いました。
 参加者の素直な感想としては、地元の意識の大切さやデザインの統一感とかアースワークの活動の必要性を痛感したとの声が多く聞かれました。

アート INFORMATION イベント
所蔵作品展
3月2日〜3月21日【月曜日休館、午前10時〜午後5時】
あーとあいきさ 一般300円 高校生以下無料
大塚和子展 アート・ブロッシュ・ワークス
2月22日〜3月21日【火曜日休館、午前10時〜午後5時】
Xa104 入場無料
三桝正典展
3月13日〜4月11日【水曜日休館、午前9時〜午後5時】
三良坂平和美術館 入場料大人300円小中高生150円
節分草祭名人市
3月7日(日)午前10時〜午後3時
総領町道の駅リストアステーション
参加無料(俳句会参加は1000円)


CONTENTS   PREV NEXT