@ EARTHWORKS NEWS - No.32 '99/05/15
3町に小さな美術館設置
Zoom!  平成10年度、広島県中山間地域活性化事業の一環として、3町に一つずつ小さな美術館が設置されました。
 今年度も新たに3つの美術館が設置される予定となっています。
 総領町リストアステーションに設置された「モマクン」は、自動販売機で作品が買えるというユニークさとともに、今後は地元のアイデアグッズなどの販売も行われます。
 隣に設けられた小部屋では、背景を借りながら不思議な語らいができます(テーブルの高さを体験してみてください!)。
Zoom! 吉舎町ひまわり集落そばに設置された「回転窓」は、寝転がって、L字の筒の下に頭を入れて、上を眺めると、鏡に映った小窓からの景色を観ることができます。
 ちょうど胸元にくるペダルを手で動かすと、回転して、360度の景色が楽しめます(ちょっと酔いそうですが)。たまには反射鏡を開いて、空を眺めると、切り取られた雲や青い空を楽しめます。
Zoom! 三良坂町の「ぞうのみみ」は、活性化センター向いの小高い山の上に設置されていて、耳を澄ませば、パラボナアンテナの効果で、のぞみが丘の様々な音が聞こえてきます。
 のぞみが丘が一望できる場所でもあり、小窓から覗き込んでみるのも一興です。

文化庁アーティストインレジデンス事業支援
 平成11年4月20日、灰塚アースワークプロジェクト実行委員会が、文化庁の芸術家滞在支援事業として選ばれました。
 国内外の芸術家が一定期間、滞在し創作活動をして、地域と交流を深める事業「アーティスト・イン・レジデンス事業」として、札幌市、滋賀県信楽町とともに、文化庁から支援を受けることとなりました。
 今年の夏には5名の芸術家が、当地に滞在・制作される予定です。

ガードレールの色を決める日
 5月22日(土)PM1:00〜5:00
 場 所:建設中の田戸橋への取付道(三良坂)
 参 加:自由(インターネットでの投票有 → 詳しくはこちら
 結 果:5月28日発表予定
 灰塚ダム周辺のガードレールの色として最も適している色を選ぼうという試みです。
 新しくできる田戸橋への取付道のガードレールが7色に塗り分けられています。
 見慣れた色から、ちょっと変わった色まで候補色を選んで塗ってあります。遠くに離れたり、近寄って眺めたり、どの色が景色に溶け込み、しかもきれいに見えるか判断してください。
 5月20日前後には新聞の折り込みチラシで地図など掲載されたものをお配りいたします。

平成10年度 周辺整備事業に関する提案
 平成9年度に「環境整備計画」「周辺整備計画」の重点箇所を設定し、この設定にもとづき、各計画の進捗度にあわせ、提案を行っていきました。
 総領町では稲草地区に拡がる高水敷(平常時は水面よりも上にある場所)の有効利用をするための「アースワーク公園」の基本方向をまとめる提案、「アースワーク公園」と連携した羽地大橋の高欄及び周辺のデザイン提案。三良坂町では継続して「三良坂地区周辺整備計画」を検討調整し、スケジュール的に急ぐ灰塚大橋高欄デザインを提案。吉舎町では、「知和大橋高欄デザイン」の設計、再建地そばの通称ひまわり護岸整備の基本設計を行い、知和地区の広大な高水敷の利用方法について、誰でも楽しめるスポーツ広場として、全体の方向性をまとめる提案をおこないました。

総領町の周辺整備事業
◇ アースワーク公園計画
Zoom!  総領町の周辺・環境整備事業の中心的な整備でもあり、アースワークを象徴するエリアとなるのが、昨年度から基本計画の検討を進めているアースワーク公園(右図)です。
 公園の検討には岡崎乾二郎さんを中心に、地元組織の「田総の里自治会」や「町づくり推進委員会のダム部会」のみなさんとともに検討を進めてきました。
 この公園は、アースワーク作品の代表として、高い芸術性と自然環境・生態系や景観に配慮がなされ、それ自体が飽きのこない作品であるために複雑な地形や植生・彫刻などを巧みに取り入れ、訪れる度に新鮮さを感じられる様々な工夫が凝らされています。まさに自然を楽しむ環境づくりにふさわしいコンセプトでまとめられています。
Click!! 今年度からは、この基本設計に基づいて、具体的で詳細な検討や実験の段階に入ろうとしています。
 また、前年度後半からアースワーク公園と副ダム湖を結ぶ旧羽地地区の整備と羽地大橋の高欄デザイン(左模型)の検討にも入っています。

三良坂町の周辺整備事業
◇ 三良坂地区周辺整備計画
 平成10年度提案のアースワークサーキット沿いに選定された4箇所について、地元検討組織「灰塚ダム周辺環境整備等検討委員会」と吉松秀樹さんで検討協議をおこないました。
 A地区… ダム堤体周辺及び下流側プラント跡地を含む堤体周辺
 B地区… 鞍部工周辺(湖面アクセス)
 C地区… 灰塚大橋及びその周辺
 D地区… 原石山及びその周辺 ← 上記マスタープラン
◇ 灰塚大橋及びその周辺
 工事の進捗状況上、灰塚大橋及びその周辺部分の整備提案について、具体的な協議を進め、「記憶と記憶をつなぐ橋(思いで橋)」としてプランをまとめました。
 また、美術作家の藤浩志さんによるサーキット全体の活用やイメージづくりを考慮した、物語性のあるアートワーク提案を「自然観察博物館(仮称)」、自然観察アートフィールド、そして灰塚大橋の高欄に適用予定の自然観察帳などとして全体計画に折り込みました。
 基本方針は「自然観察・親しみ・微笑み」となっており、ユーモラスな提案がまとめられています。

吉舎町の周辺整備事業
◇ ひまわり護岸整備
 岡崎乾二郎さんにお願いし、建設省との工法の協議や予算の話、学校での護岸公園の楽しみ方のアイデアだしや、地域と一体となった昨年夏のひまわり踊りのイベントなど、この空間の使い方、楽しみ方を探ってきました。そして、その成果が今年3月にまとまり、建設省に報告されています。
◇ 知和橋高欄デザイン
 蛍の飛行軌跡(飛んだライン)を題材にした福井裕司さんによるデザイン高欄の図面を仕上げています。美しい曲線を描くパイプの組み合わせと、その先端で輝く発光ダイオードなどが醸しだす幻想的な景観が今から楽しみです。
◇ 人と自然に優しいゴルフ場
 知和地区では、雑草を利用したゴルフ場コースの実現の可能性を探るとともに、誰でも楽しめる空間(広場)づくりの観点から、ゴルフを楽しむ人の範囲の拡大を研究しています。
 芝生広場的な性格付けを重視し、ゴルフや他のスポーツの取り込み等も検討しています。さらに、事業性の面での検討も慎重に進めているところで、これらは平成11年度も引き続き行っていく予定です。

CI計画について
 一口に「ダム」といっても、まだ完成していない巨大構造物の捉え方は、人によって随分と違います。
 本年度から、工事も本格化し、見慣れた景色がどんどん変わっていきます。これからのダムエリアについて、関係者でイメージを共有し、そのイメージを外部に対して効果的に伝えるために、灰塚ダムのCIをまとめ、利用法等を検討しました。
◇ 灰塚ダムの個性
 各町の移転集落(田総の里、のぞみが丘、ひまわり集落)の様々な検討会で、ダムや関係地域に対するCIについて協議し、灰塚ダムの個性的なところとして、
  1. ダム建設によって三つの町がつながれること
  2. ダムによって失われかねない身近な自然を保全活用しようとしている取組み
  3. 工事による景観への影響を緩和して、新たな魅力づけをはかる環境デザインや美術活動
  4. これらを含む再建から創造に向かう地域づくり
を通して交流する町内外の人々などがまとめられました。
◇ 全体のイメージ
 ダム建設にあわせて「水と緑と芸術を楽しむ環境づくり」が進んでいこうとしています。
 その結果、美しい場所や心地よい施設、きれいな湖などが灰塚ダムの個性を反映しながら、できようとしています。この全体のイメージを共有することが、今回のCI計画の大きな目的です。
◇ 活用方法(CI計画)
 そして、このイメージを積極的に活用するための方法を吉松秀樹さん古平正義さんにまとめていただき、前号のニュースのデザインや掲載した内容に反映しました。
 今後も、全体のイメージを保ちながら、必要に応じて具体的なデザインを決めていく作業を続けていきます。
※ CI(コミュニティ・アイデンティティ)とは?
CI(コミュニティ・アイデンティティ)とは、地域の個性を言葉やデザインなどで表現し、地域のイメージや雰囲気を形作っていくもので、色やマーク、名称などを決めて関係地域で統一して使っていくことと併せCI計画といいます。

アースワーク宣言について - 第2回
 灰塚ダムづくりの基本方針として、(1) 里の環境・文化に調和したダムづくり、(2) 地域と共に創るダムづくり、(3) 将来に伝え残されるダムづくり、(4) 地域に貢献できるダムづくり、が揚げられようとしています。
 ひとつひとつは、決して目新らしいものではありませんが、宣言として公にするということは、ダムづくりの方向性を明らかにする意味で非常に重要です。
 ダムづくりの主体は建設省です。しかしこのダムが将来に渡って残る場所は3町であり、生活・歴史・文化を創り上げていく全ての住民がこのダムづくりによって、少なからず影響を受けます。
 移転を余儀なくされた場合もあれば、新しい県道ができることで生活環境が変わったり、観光客など外部からの流入人口による変化なども予想されます。
 ダムづくりは余りに巨大な事業で、その全貌を把握して逐一意見を反映させることはできません。しかし、まだ決めなければならないことや、考える必要がある事柄は残されています。
 宣言を行うことで、ダムづくりが、建設省や3町の行政中心の事業ではなく、住民のダムとして、より積極的な地元からの発言の機会を作り出したり、様々な提案を共に検討できる場ができます。
 いつのまにか創られるダムではなく、ダムを活用していけるように、宣言はその道筋を創ろうとしています。

吉舎町 - 灰塚ダムを語る会
 「灰塚ダムを語る会」が5月24日の吉舎公民館を皮切りに始まります。
 公民館単位で、三町の全地域を対象に、灰塚ダムができるということを改めて確認し、それに対しどう地元の声を反映させることができるか、膝を交えて語っていこうという試みです。
 夏に予定している「アースワーク宣言(仮)」に結実できるように、みなさんのご参加とご意見をお待ちしております。

総領町 - 羽地大橋高欄デザイン協議
Zoom!  4月23日(金)、江の川総合開発工事事務所で、羽地大橋の高欄デザインの技術的な課題や実施に向けての注意事項について事前協議を行いました。
 橋の欄干に、水が流れるパイプがついているというプランは、新しくできる羽地橋が傾斜しているという構造を利用した非常にユニークなものですが、克服しなければならない課題も明らかになりました。
 田総の里や総領町、岡崎さんを中心に、今後も継続してプランを修正補強し、橋梁建設のスケジュールにあわせ実現可能なプランとしてまとめていこうとしています。

三良坂町 - 活性化センター脇の白いテープは?
Zoom!  総領町の羽地大橋建設のため、アースワークセンターも今年中には移動しなければなりません。
 その候補地の一つとして、のぞみが丘を見渡す場所にあるログハウス(建設省所有)を活性化センターのそばに移動してもらい、一部を利用させてもらう話が進んでいます。
 広島県の中山間地ソフト事業の一環として、三良坂町ではこのログハウスのそばに建物を建て、アースワークプロジェクトで利用できる拠点づくりを行っていくこととしています。

アート INFORMATION イベント
特別企画展 河田清 - 未定形ときめき画業展
5月23日〜6月11日【月曜日休館、午前10時〜午後5時】
あーとあいきさ 一般300円 高校生以下無料
水仙陶房
岡迫明良・岡迫由子の陶芸作品
5月9日〜5月30日【火曜日休館、午前10時〜午後5時】
Xa104 入場無料
第9回 県北の画家たち展
6月19日〜7月11日【水曜日休館、午前9時〜午後5時】
三良坂平和美術館 入場料大人300円小中高生150円
※ 5/24-6/2 燻蒸のため臨時休館

実行委員会動向
【3月31日】 これまでニュース作成・各種印刷物の編集や事務局の事務を担当の長谷川孝子さんが、3月31日をもって退職。
【5月〜】 5月より総領町の藤野冨美代さんが、事務を担当(予定)。
【5月6日】 連絡調整会議
【5月18日】 実行委員会運営室会議
【5月22日】 「ガードレールの色を決める」イベント開催
【5月24日】 「灰塚ダムを語る会」開始
【5月25日】 実行委員会 平成11年度総会
【5月31日】 連絡調整会議


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