@ EARTHWORKS NEWS - No.33 '99/06/15
「灰塚ダムを語る会」中間報告
 5月24日、吉舎公民館から始まった「灰塚ダムを語る会」は、3町合わせて18ヶ所の公民館を廻りながら、6月18日まで開催されます。
Zoom!  はじめに建設省によるダム建設の基本的な方向性を説明。次に3町の担当者から、これまで5年に渡って取り組んできたアースワークプロジェクト活動についてその経過や成果、全体の位置づけなどについて説明されています。
 「地域の人が集う場所づくりを」「管理の問題は?」「他の地域にないものを」「交付税などで町にメリットはないのか?」「ダムエリアに自分の樹を植えて、世話をしてもいい」「ダムにかわる全体の名称を検討してもいいのでは?」等、多くの意見が寄せられています。
 これらの意見を具体的に反映していくためにも、どんどんアースワークプロジェクトに参加し、利用してください。

平成11年度実行委員会総会開催
Zoom!  5月22日(火)、三良坂町の活性化センターで、実行委員会総会が開催され、前年度業務の報告、今年度事業計画、その他の協議事項(ガードレールの色決定、アーティストインレジデンス事業、芸術祭の全体テーマ設定など)について審議されました。
◇ その他の協議の決定事項
  • ガードレールの色について
  • アーティストインレジデンス事業
    * 広島県教育委員会文化課長が実行委員会顧問参画
    * アーティスト選考委員会設立(委員9名)
  • アートスフィア灰塚テーマ『雑草』
◇ アーティストインレジデンス事業
 特に今年からはじまる「アーティストインレジデンス」(文化庁支援)事業に関しては、委員の岡崎・吉松両氏から「芸術文化活動としても評価されている証である」という意見などが出されました。また、夏の「アースワーク宣言」について、内容の説明があり、最終的な宣言の前に、実行委員会で宣言文の議決をすることを確認しました。

平成10年度事業・決算報告
 総事業数 18(会議・総会・補助金申請活動等など除く)
  • 歳入 32,904,598 円
  • 歳出 30,890,964 円(繰越金 2,013,634 円)

平成11年度事業計画・予算
 総事業数 19(デザイン調整6事業、情報提供5事業、芸術祭6事業、芸術教育1事業、調査研究1事業)
  • 歳入 33,768,634 円
  • 歳出 33,768,634 円

平成10年度から整備の進んでいる事業
 灰塚ダム周辺整備では、計画の立案とともに、既に実現化を進めているものも多くあります。
 総領町の木屋地区では、地元の方々の管理と建築家の堀正人さんのデザインが、見事に融合されつつあります。
 三良坂町の大谷地区は、今年の五月にアヤメなどを移植し、既に花を咲かせています。静かでゆったりとした自然や緑を楽しめる場所となろうとしています。
 吉舎町ではふれあい植樹をしている川谷地区が、少しずつ変わろうとしています。ひまわり護岸の整備に平行して、中に入ることが実験となる植性実験場ができようとしています。
◇ 総領 - 整備進む「癒香(ゆうこう)の杜」
 ハーブ園の整備が進んでいます。木屋地区の皆さんがハーブ園の名称を付けられました。
 木屋「癒香の杜」といいます。
 近年注目を集めているアロマテラピー(芳香療法)を意識して里山の自然環境とハーブで心と体を癒す地域イメージとして付けられました。
Zoom!  昨年度の事業で、実験整備したハーブも順調に成長しています。ハーブを使って教室やイベントなどのソフト事業も盛んに行われていますし、ハーブ製品の試作や販売も試験的に行われています。
 建築家堀正人さんのデザインによるハーブの花園も実験整備されハーブ園らしくなりつつあります。
 また、節分草などの希少植物の保全事業も着実に成果をあげつつあります。草刈りや除草によって新たな希少種が確認されたり、地元の皆さんのための山野草教室など多彩な活動が始まっています。
 本年度は、ハーブを使った製品の研究や将来の運営を検討する工房のあり方など、人材育成に向けた事業が新たに始められる予定です。
◇ 三良坂 - 大谷地区
Zoom!  大谷地区では、アヤメやカキツバタの試験植栽が行われました。
 試験植栽といってももともとあった田んぼ3枚ぐらいはあります。うまく育てば見応えがあります。
 大谷地区は、ほとんどが湛水試験で一度水につかるので、本格的な整備はその後になりますが、最終的には大谷の田んぼの形をそのまま活かして、谷全体を美しい風景の湿性植物園にしたいと考えています。
 じつは、そのために今年以降も湛水試験までにやらなければならないことがあります。
 田んぼを維持しておくために、水路の補修や、水をはったり、荒起こしを時々やっていく必要があるのです。
 これはアヤメやカキツバタの試験植栽のときもそうだったのですが、地域の人たちの知識や知恵、ワザが欠かせません。
◇ 吉舎 - 川谷(かわたに)地区
Zoom!  川谷(かわたに)地区には、現在ふれあい植樹として、知和地区に生えていたドングリやナンテン等の木々を移植して育てています。これは、ダム事業が完成した時に、道路や余裕地に植えることで、かつての風景を再生する試みのひとつです。
  さらにこの場所を使って、今年色々な芝生や在来の雑草を植えて育てる試験を行う予定です。この試験結果はゴルフ場などの整備に生かされることになります。
 来年には植えた芝生等の踏圧試験(踏まれることへの耐性試験)にも取り組む計画です。

3町をつなぐコンピューター設置
 灰塚アースワークプロジェクト実行委員会の契約プロバイダが変わりました。Homepage とE-Mail の新アドレスは以下の通りです。  平成10年度業務として関係3町の役場などに、コンピューターを設置しています。繁雑なやり取りを、効率的におこなったり、情報をできるだけ共有するために設けられています。
 今年度は、総領町リストアステーション、三良坂町平和美術館、吉舎町あーとあい吉舎などの拠点に設置することで、地元の皆さんも利用できるように準備しています。様々な要素をつなぎ、情報発信していきます。

アートスフィア灰塚 '99
 今年のアートスフィア(環境美術圏)は、8月から10月まで約3ヶ月の間、開催されます。
 『雑草』という共通テーマを設け、長期間の様々な活動を、わかりやすく、つながりが持てるよう工夫しています。
◇ サマーキャンプ
 全体テーマ『雑草』に合わせ、岡崎乾二郎さんによる美術演習、中谷礼仁さんの建築・道具に関する演習、栗本修滋さんと杉本隆さんによる植栽などの実施演習などに分かれて、参加者がそれぞれ作品化やグループ発表を行っていきます。
 8月2日から2週間、全国から若い人が大勢やってきます。暖かく迎えてください。
◎ 参加者作品など鑑賞ツアー
 1999年8月14日(土)午後〜ふるさとセンター田総より出発
◇ 灰塚シンポジウム「雑草」
Zoom!  各方面の専門家の方を招き、共通テーマ「雑草」についてそれぞれの観点から議論します。
 8月7日の基調報告会は、専門的な話が中心となりますが、8日の公開シンポジウムは、テーマについてわかりやすく掘り下げていきたいと思っています。
 皆さん奮ってご参加いただけますようお願いいたします。
◎ 公開シンポジウム『雑草』
 1999年8月8日(日)午前10時〜町民会館(総領町)
◇ 作品ホームステイ
 詳細は本号別項にて。
◇ アースワーク宣言関連企画
Zoom! 9月5日には吉舎町の中央公民館で、建設省・総領町・三良坂町・吉舎町とアースワークプロジェクト実行委員会による「アースワーク宣言」が行われます。
 当日、アースワークプロジェクトの関連イベントや地元中心の活動の紹介、模型・プラン等の展示を予定しています。ご参加ください。
◎ アースワーク宣言
 1999年9月5日(日)中央公民館(吉舎町)
◇ アーティストインレジデンス
Zoom!  国内外のアーティストが滞在し、自らの作品を制作をします。
 アーティスト滞在期間には、アースワークスクール等を開催し、子どもたちとの交流や様々なものづくり教室を行います。
 アーティストが滞在し、作品を制作していることで、高い技術や、独特な制作方法を見たり習ったり、直接交流することができます。
◎ 制作現場訪問(予定)
 【オープンスタジオ】1999年10月2・3日作家滞在制作場所

ガードレールの色 投票結果
# 有効票数=122票、現地以外の投票=22票、合計144票の結果
 No.1[U22-60C] 明るいベージュ:43票(内現地投票31票)
 No.2[U22-50B]グレー寄りベージュ:5票(内現地投票5票)
 No.3[UN50]グレー:10票(内現地投票8票)
 No.4[U55-50D]青みがかった緑:41票(内現地投票39票)
 No.5[U37-50D]深い緑:19票(内現地投票16票)
 No.6[U35-30B]濃い緑:14票(内現地投票13票)
 No.7[U22-30D]こげ茶:10票(内現地投票10票)
※[ ]内は1997年「塗装用標準色見本帳」日本塗装工業会より
 5月22日(土)開催された「ガードレールの色を決める日」は、現地まで122名もお越し下さり、インターネットからも22票の投票参加をいただきました。
Zoom!  結果は、上記の通り[No.1=明るいベージュ][No.4=青みがかった緑] の2色の票が拮抗しました。実行委員会総会での協議を経て、上位2色(No.1No.4)を基本的な色とし、塗装の技術面や経年変化への対応などについて、専門家による委員会で最終決定をおこなうこととなりました。
 6月22日委員会を開催し、現地で色を見比べて最終的なガードレールの色を決定します。

アースワークセンター・野外作品移転
Zoom!  現在、総領町のふるさとセンター総領に仮移転する準備をしています。  同時に、3年前の春に設置された、アレン・フィンケルさん(美術家・アメリカ)の作品もいったん移動されます。
 アースワークプロジェクトの象徴として、ダムエリアへの門として、風雪に耐え、アースワークセンターを支えてくれていました。
 現在、アレンさんにも相談しながら、この作品の今後について事務局で協議しています。
 野外彫刻作品としての完成度の高さを改めてご堪能いただけますようお願いいたします。

アースワーク宣言について 第3回
▼ アースワークプロジェクトで行っていることは、ダムづくりにとどまらない。宣言案で『ダムづくり』が連続することに関し、表現を工夫してはどうか?
 実行委員会総会で、委員の方から出された意見です。
▼ 名札をつけた、自分の樹などがダムエリア内にあれば世話をしにいきたい。
 三良坂町の「灰塚ダムを語る会」であった地元の方の発言です。
 多くの地元の方々の移転によって、治水や利水を目的とするダムづくりが本格化する現在、工期の延長、工事予算の増額などが新聞を賑わせています。
 百年に一度の洪水(治水)のためとはいえ「なぜ灰塚なのか」については、十分な判断ができるだけの情報が提供されていませんでした(『誇りうるふるさとを−灰塚ダム闘争30年の記録』)。
 過去の歴史を絶えず検証しつつ、将来への前向きの検討をしていく。この宣言は、ダムをつくるという前提の下、最善の基本方針をまとめようとしています。

作品ホームステイ受け入れ先募集
Zoom!  吉舎町企画開発課(43-3111)
 三良坂町企画課(44-3111)
 総領町町づくり推進課(88-3062)
 アースワークセンター(88-3080)
 まで
□ 目 的  美術作品と、より身近に接する機会をつくる。
□ 期 間 八月初旬〜9月12日迄
□ 手 順 1999年度作品リスト(30〜50点)から希望受け入れ作品を選びます(6月完成予定)。振り分け調整の後、7月中旬ホームステイ作品決定。8月初旬から展示準備。
□ 対 応 受け入れ先の条件にあわせて、開放曜日・時間等を設定し、外部からの鑑賞者がマップを見て訪問できるようにします。また、展示状況に応じた作品説明資料なども作成します。

アート INFORMATION イベント
吉舎町内児童生徒作品展
6月29日〜8月15日【月曜日休館、午前10時〜午後5時】
あーとあいきさ 一般300円 高校生以下無料
大江良二展
6月2日〜6月28日【火曜日休館、午前10時〜午後5時】
Xa104 入場無料
第9回 県北の画家たち展
6月19日〜7月11日【水曜日休館、午前9時〜午後5時】
三良坂平和美術館 入場料大人300円小中高生150円
直島会議III/直島文化村
6月19・20日 灰塚アースワークプロジェクト紹介
プログラム問合せ:086-221-2100【直島会議III係】

実行委員会動向 - 6月スケジュール中心
【6月2日】 連絡調整会議
【6月18日】 「灰塚ダムを語る会」終了(総領町黒目)
【6月19・20日】 「直島会議III」にて美術家・岡崎乾二郎 氏がアースワークプロジェクトについて報告
【6月22日】 ガードレールの色決定に関する専門委員会の開催
【6月28〜30日】 センターの仮移転(引っ越し)


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