@ EARTHWORKS NEWS - No.37 '99/12/15
道路のり面下端処理について
Zoom!!  道路のり面の下端処理の方法について、継続して協議を続けています。
 この協議にあたって、のり枠を作り種子吹き付けなどの緑化を行う急なのり面と、のり枠を作らないで種子吹き付けを中心として緑化を行う緩やかなのり面にわけ、各々について下端をどのように処理するかを考えています。
 今後、現在の状況をきちんと把握し、それに対する対応をまとめ、より多くの方々を交えて全体の方向性を決定していこうとしています。
【のり面】 のり面は、県道、町道、林道、工事用道路の山側に掘削によってできる傾斜した面
【緑化】 外来の種子だけでなく、自生の植物をおり混ぜた種子吹き付け(種子の採取が必要)についても考慮が必要
【現在の状況】 各路線ののり面状況について、1/2500の図面などで景観上重要な箇所を再度細かく確認し、状況を把握
【現状への対応】 工期、予算など現実的な問題を考慮に入れながら、可能な範囲でよりよい方法についてまとめていく

土木工事とデザイン
 ◇ ひまわり舞台のデザイン監理を巡って
Zoom!!  11月19日(金)、事業が進んでいる吉舎町安田のひまわり舞台現場で、第2回デザイン監理会議が開催されました。
 建設省から副所長をはじめ、監督官や工務課、調査設計課の職員が集まり、町行政、施工業者関係者、各種部材の専門家、そしてアーティストなどおよそ20人で「デザインどおりの施工」について協議しました。
 「デザインと土木工事の融合」は、アースワークプロジェクトで提唱してきたダム建設工事への新しい試みの一つでした。
 なかなかその具体的なものを実現できないなか、この、ひまわり舞台の施工は、現在行われているダム建設工事の新しいモデルとして画期的な取り組みとなっています。
 実際に協議されている内容は、素材の選定や石の積み方など、ものを作っていく際、当り前に考えることばかりです。
 しかし、その仕上がりに責任を持つアーティスト(建築家)、施工関係者、工期や予算も含め全体の責任を持つ事業主体(建設省)、後々の管理や地元の意見を代表する町行政とが、この会議のなかで「デザインの実現」に向けて、立場を超えて協議しています。
 里の環境・文化に調和しながら、地域と共に、将来に伝え残すものづくりには、こういった手間ひまをかけた積み重ねが欠かせません。
 と同時に、その手間ひまは地域に止まらない大きな拡がりを持つ可能性を秘めています。

加村橋高欄設置
Zoom!!  平成9年の夏、サマーキャンプの一環として「みんなの橋を語る会」を開催しました。
 この時、2本だけ完成していた橋脚に、橋桁や高欄(欄干)のイメージを重ね合せて、将来の完成を視ることができる、橋を見る装置が大活躍しました。
 そして、今、加村橋に高欄が設置され、いよいよ完成も間近となってきました。
 高欄のかたちは、既成のものですが、色はガードレールやガードパイプと同じ、アースワーク色を2色使っています。
 現在建設中の田戸橋、反谷橋、木屋川橋、湯谷大橋の高欄には、いずれもこの高欄が設置されます。
◇ 親柱デザイン
 高欄同様、羽地大橋、灰塚大橋、知和大橋以外の橋には、同一の親柱が設置されます。
 そこで、この親柱については、「みんなの橋を語る会」開催から関わり、吉舎町の知和大橋高欄デザインを担当している福井裕司さん(小さな美術館『回転窓』)にお願いしています。
 基本的な考え方として、橋という大きな土木構築物に対し、人が触れたり接することができるようなデザインを考えてくださっています。
 家具のような、人の身体の一部のような親柱の設置計画が近々お披露目できます。

三良坂町
 三良坂町では、現在大きな流れとして四つの事業が進んでいます。
(1) 仁賀地区周辺整備計画
仁賀地区でのダム建設にともなう周辺整備などに関する検討を行い、計画を作成
(2) 湖畔の森第二期工事
陶芸教室の人気に応えて陶芸工房を、建築家吉松秀樹さんの設計のもと増築
(3) アースワークセンター改築
ダム関連のアースワーク資料・図面等の閲覧が可能で、現場近くで打ち合わせなどを行えるセンターの建設
(4) のぞみが丘モニュメント制作
灰塚ダム闘争30年の歴史を踏まえつつ、のぞみが丘のこれからを方向づけるようなモニュメントの制作

 この他、灰塚ダム周辺のサーキットプラン(平成10年度提案)の詳細を詰めていく作業や、移植した春植物や大谷地区に植えたアヤメの育成、福山城跡周辺の紅葉山計画や桜の植栽など、地元を中心とした活動が大きく拡がろうとしています。
 役割を分担しながら、協議を進めていきます。

吉舎町
 ◇ 安田ワークショップ
Zoom!!  11月26日(金)、19人の参加で、知和地区の活用を考える安田地区ワークショップ(第2回)を開きました。
 最初に川谷地区を中心とした「パークゴルフ場の整備」の経過報告や質疑応答、意見交換を行い、続いて「知和地区全体の利用方法」について、前回の話し合いを基にした「活用案(図)」を使って話が進みました。
 グループに分かれての話しあいを通じて、池が欲しい、蕎麦畑を作るのなら側に食堂が欲しい、パークゴルフは子どもの体育の時間にもできそうでよい、利用方法が細分化して書いてあり寄せ集めの感じがする、知和地区全体を使い切るのは無理がある、自然を大切にした場所に、管理が大変そう、魚釣りができる場所が欲しい、などの意見が出されました。
 続いて、整備計画に上がっている「パブリックゴルフ場」について話が移り、管理主体について、道具や利用料金設定などの運営について、あるいは牧草地にしてはどうかという意見まで、幅広く出されました。
 まとめとしては、知和地区の放置はいけないので活用が必要。自然を大切にした利用方法を採用。持続できる維持管理が重要。町全体での取り組みが不可欠。それでも夢を持てる内容を折り込み、子どもが将来使っていけるような場所にしていくことが確認されました。
 河川敷というさまざまな規制のなか、40haを超える広大な敷地で、維持管理に負担がかからず、魅力的で人が呼べるという非常に困難な条件の中での模索が続いています。
 引き続き自然と調和し、地域の理解が得られ、地域に貢献できる活用方法を検討していきます。

総領町
 ◇ 子ども見学会
Zoom!!  11月22日(月)に、総領小学校4年生の16人が、転流工トンネルなど工事現場を見学に行きました。
 22日時点では、トンネルを貫通させるためのダイナマイトを使った後だったこともあり、火薬の匂や細かいチリのようなものを直接体感できました。
 削孔する重機ジャンボドリルや、トラックの圧倒的な大きさも興味をひいたようです。
 往復のスクールバスでは、ダムができるということやアースワークの活動などについて説明。ちょっと変わった社会見学となりました。

灰塚ダム工事見学会
Zoom!!  11月28日(日)、灰塚ダム工事現場見学会が開催され、延べ500人が参加しました。
 現場は、ダム堤体工事の間、水の流れを変える仮排水路(トンネル)、ダム完成後は湖の真ん中を横切る灰塚大橋、鉄橋となり、ホタルの飛び交うような高欄が設置される知和大橋の3ヵ所。
 仮排水路では、入口に孔を削りだしていくための重機ドリルジャンボ。
 ダイナマイトで吹き飛ばされ、崩れないようにコンクリートで固められたトンネルを抜けると、懐かしい山の景色がひらけていました。
Zoom!! 灰塚大橋ではリフトで40m上の橋桁まで登り、橋の仕組みやディビダーグ工法という橋の作り方についても解説してもらいました(左図)
 コンピューターの発達によって実現可能となった工法ですが、その数値通りの作業をするということは、気が遠くなるような職人技が支えているのでしょう。
 一人でも創ることができる芸術。分業をしながら作り出す建築。大勢が各々の最大の力で作り上げていく土木。
 どんなものづくりにも大きな構想と緻密な細部があり、現場には汗とホコリがにじみます。

君は象をみたか!?
 ◇ 象やワニやカエルが町にやってきた
Zoom!! 『11月下旬から12月上旬にかけて、三良坂町内に白い象やワニ、ダルマガエルが出没』
 といっても木でつくられた人形のパレードだったのですが、目撃した人も多いのでは。
 実は、ダムに沈む森の木を引っ越しさせて、ダム湖に浮かべる大きな船をつくってみよう、というアイデアの持ち主・PHスタジオの皆さんが11月半ばから泊りがけで制作した「作品」です。
 のぞみが丘の営農組合倉庫で誕生し、工事用のダンプが通る三良坂総領線をゆっくりと総領町内(保育所・総領小学校)に入り、福塩線の踏み切りを大急ぎで通りすぎて三良坂町内(三良坂小学校)へ、そして184号線の旧道で「あれはなんかね」と注目されながら吉舎町内(保育所)へと移動していきました。
 今は、吉舎町のXa104で展示(休憩中?)されているこの象たち。
 もしかしたら今度は本物になって船の材料となる木を運んでいるかもしれませんね。

鍋を囲んで船をつくる話 II
Zoom!!  12月4日(土)に行われた「鍋を囲んで船をつくる話 II」/ミーティングでは、伊藤裕啓さん、横山保則さん、池田好幸さんら地元の方々もパネリストとして招かれました。
 PHスタジオの今年の活動報告にはじまり、ダム建設事業、アースワーク活動、芸術やアートについて意見交換。
「アートがコミュニケーションの材料になるか?」
 ゲストでこられていた磯達雄さん(日経BP編集)からの質問に、「小さい活動を積み上げて」「将来誇りを持てるような地域づくり」を、「アーティストや地元が一緒になって考え、実践している」、と各々の地元の活動を例に説明されました。
 また、地元と「作品」との関係については、真武真喜子さん(北九州市立美術館学芸員)から「作品と人の出会いが嬉しい」という感想。
 ミーティング終了後も鍋を囲んで、話は盛り上がりました。

アート INFORMATION イベント
第51回広島県美術展巡回展
1月26日〜1月30日【月曜日休館、午前10時〜午後5時】
あーとあいきさ 一般300円 高校生以下無料
船をつくる話1999−木を集める 12月8日〜1月10日
Xa104 入場無料【火曜日休館、午前10時〜午後5時、12/30〜1/4は休館】
美術館収蔵展
2月5日〜3月19日【水曜日休館、午前9時〜午後5時】
三良坂平和美術館 入場料大人300円小中高生150円

実行委員会動向
【12月4日】 鍋を囲んで船をつくる話 II
【12月17・20日】 三良坂町検討会議
【12月15日】 連絡調整会議
【12月28日】 実行委員会仕事納め
【1月4日】 実行委員会仕事初め


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