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Q. |
ダム建設により失われてしまう歴史的遺物や植生、動物については残す努力は? |
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A. 歴史民族資料館館の建設予定。植生・絶滅動物についてはケースバイケースで対応を検討、実施中。 |
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Q. |
アースワークとはどのようなものですか? |
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A. もともとアースワークとは、山や川、大地など自然そのものを素材として展開される芸術活動で、1960年代末から70年初頭にかけて、アメリカ南西部のテキサス、ネヴァダ、ニューメキシコなどの砂漠地帯で集中的に始められた新しい芸術の形態です。
当初、水に浸からない広大な高水敷エリアに、アースワーク作品を作り出すことで、これまでにないダム周辺整備をしてみようということで、アースワークプロジェクトとして開始されました。しかし、ダムだけでも異物が持ち込まれるのに、更にわからないものが作られるということに対し、地元からの反発もありました。そこで、サマーキャンプ、ワークショップ形式でアースワーク(現代美術・芸術)について、普及しながら、地元の方々にも係わりを持ってもらおうとしました。この発想が、大きく拡大し、現在では単なる大地の芸術という意味合いだけではなく、より広義の芸術文化活動、ダム事業の統一的な整備に繋がっています。 |
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Q. |
なぜ、アースワークなのですか? |
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A. 灰塚ダム建設予定地でアースワークを行う目的は、
1. 自然と一体化するアースワークによる文化的な観光資源づくり
2. 訪れる人々とアースワークとの新しい出会いの場づくり
3. 多くのアーティストや関係者が集まる活動の場づくり
4. アーティストの活動を通した芸術教育への効果
などに集約されると考えます。言い換えれば、豊かな自然と芸術と人とが互いに交流することによって、新しい美しさと楽しさを生みだそうというものです。 |
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Q. |
とはいっても、よそから来て、勝手に自己表現をして帰ってもらっても困りますが‥‥。 |
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A. 基本的に94年度のワークショップで確認された課題・基本方針にのっとって作業を考えてもらうことになります。
◇ 環 境 |
(1) |
管理道路の作り方について――道路が生態系を切断してしまうことの影響が危惧される。どう考えていけばよいか? |
(2) |
水没地域及び河川敷の空間をどう埋めるのか? |
(3) |
ダルマガエルに代表される稀少動植物をどう残していくのか?
(移転、保護、調査、研究を含む体制作りの方法) |
◇ 歴 史 |
(1) |
水没してしまう山(山城)、部分的に浸かってしまう部分の形態をいかに残すか? |
(2) |
石造物(庚申搭、馬頭観音などを含む)をどうするのか? |
(3) |
住民の生活区域の変遷(山→川→山)をどう考えるのか? |
(4) |
陶芸、炭焼き、鉄の精製などの過去の生産方法を芸術、文化活動の一環として利用できないか? |
◇ 社 会 |
(1) |
人口の減少、老齢化にどのように対応するのか。 |
(2) |
新たなひとびとの結び付きと再生を繰り返していけるような町の仕組みを考える。 |
という基本方針のもと、より具体的なアイデアやデザインを募り、状況にあった選択により、実際にその作業にとりかかってもらうことになります。 |
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Q. |
では、誰がそれを決定するのでしょうか? |
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A. 3〜5年後に迫ったダム堤防建設に先立ち、早急に要請される護岸や橋、管理道路周辺などの具体的なデザイン、企画について、実行委員会を主体として様々な提案が、建設省に対しなされています。環境や生態系、地元代表やアーティストによる委員会の正式な設立までは至っていませんが、建設省との連絡調整会議、地元での事務室会議、運営室会議、総会などで、その内容についての必要項目、条件などを討議しています。
基本的には、これらの会議での決定にしたがって最終的なダム周辺整備につなげていく予定です。 |
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Q. |
外部(外国を含む)からの意見はどうやって取り込んでいくのでしょう? |
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A. これまで行われてきたワークショップやキャンプにおいて出されている提案や、個別の箇所について協議が進んでいます。外部からアイデアを提供してもらうといった方法もとられていますが、地元での協議に従ってアイデアを確定していったり、この地に訪問してもらうことから、雑談ができるような場、会議の場から、様々なアイデアが生まれ、意見として反映されようとしています。 |
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Q. |
漠然とした質問ですが、芸術が環境を救うことは可能でしょうか? |
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A. 現在考えられている、土木構造物に対する施工方法は、のり面緑化を基本とする、護岸は極力近自然工法を取り入れる、歩道部分を歩きやすい素材とする、代表的な橋梁にはデザイン的な要素を折り込む、などの方法をとっています。これは、できるだけ地場の自然材を利用し、地域に伝承された技術を活用したヒューマンスケールの環境デザインともいえ、単なるランドスケープデザインとは一線を劃して考えられます。また、美術的な考え方として、いわゆるパブリックアートとも違った、その場その場での状況や、必要性により景観を含めた美術空間を造り出していく、まさにサイト・ジェネレイトな考え方もなされています。これらの取り組みが、直接環境を救うことになるかまだはっきりしませんが、新たな試みとして実践するに値する試みと位置づけています。 |
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Q. |
今後の予定については決まっているのでしょうか? |
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A. これまでの活動内容を踏まえ、より一般的な美術・建築教育も可能な場を創出する。利用可能なスタジオ・アトリエを増やし、国内外のアーティストがそこを利用できるようにしています。また、アーティストの滞在しない時期には、スタジオ・アトリエ施設を地元住民にも解放することとし、より具体的にものづくりを体験できる設備も整えています。
勉強会や講演会などを通じて、美術、建築の基礎的な知識、環境やエンジニアリングの結び付きなどについて、広く普及させていきながら、外部と内部の共同作業を実施していこうとしています。
これらの恒常的な活動にもとづき、夏季あるいは冬季といった特定の時期に、全国から学生を募り、恒例となったキャンプ形式で演習やアーティスト・イン・レジデンス事業、展覧会事業を展開していこうとしています。 |
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Q. |
お話だけではやはりわからないところがあります。実際に現地に行くにはどうしたらよいのでしょう? |
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A. まずはアースワークセンター内の灰塚アースワークプロジェクト実行委員会までご連絡下さい。
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