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演習課題1 |
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下の3つの図をしばらく見た後、隠してください。そして記憶に頼って、その図を描いてみましょう。 |
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飽きない形 |
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試してみると図1と図2は思いだしやすいけれど図3はむずかしいことがわかるでしょう。
図1は三つの四角形が平らに並んでいる。図2は三つの四角形が重なっている。と複数の四角形の組み合わせとして理解し、その通りに思い出して、組み立てなおす(再現する)ことができますが、図3は見かけは四角が重なったり並んだり同じような印象があっても、その印象に従って思いだし、組み立てなおそうとするとなかなかうまくできません。というのも図3は三つの四角形の組み合わせではなく、一つの線でつながった、一つの連続した形だったからです。つまり、この図3は、そこに色々な形を見つけだすことができたとしても、そんな一通りの形の組み合わせには容易に分解できないほどに全体が強くひとつにまとまっているわけです。
見るたびに異なって見える、飽きない形というのは、たぶん、この図3のように、容易に記憶できず、部分に容易に分解できない形です。 |
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強い形 |
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彫刻家のミケランジェロは「崖から落としても壊れない形こそがいい形だ」と言いました。しかしもちろん、物である限り、壊れない物はありません。ミケランジェロが言ったのは、たとえ物としての彫刻が壊れたり、どこかがなくなってしまったとしても、いい彫刻は、もともとの全体の形のまとまりを残していなければならない、と言うことです。たしかに、お母さんやお父さん、好きな人の顔が、たとえ断食して、三分の一にやせたり太ったり、ヒゲダラケになったりしたとしても、その人のことは容易に見つけ出すことができるように。
強い形というのは、それ以上、もう要素に分解できないくらいに無駄を削ぎ落とした形です。たとえば四角や円の組み合わせで出来た形は、分解できますが、当の四角や円そのものは、それ以上分解できません。彫刻家は、四角や円よりもはるかに複雑な形を、四角や円という基本的な形と同じように、ひとつに完結した形のまとまりとして作り上げるのです。図3はそんな形のひとつのモデルともいえます。 |