Summer Camp 1995
Guest Lecturer: OENOKI Jun
大榎淳
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ラジオアースワーク
 〜 地域のコミュニケーションを重層化する装置としてのミニFM局 
  一般にも明らかになったオウム教団の海外放送や衛星放送、それにコンピュータ・ネットワークを駆使しての活動と比較して、オルタナティブな電子コミュニケーション、もしくは、テクノロジー・アートやメディア・アートは、あの教団が獲得したものへ未だに追いつけない、愚鈍な存在として捉えられているようだ。しかし、オルタナティブな関係を求めるという出発点においては、これらを同一の動きと見なすこともできるが、結果として、獲得目標は全く違ったものになっていたというべきだろう。あの教団の目指したものは、結局のところ現在の大きな放送システム(例えば、放送するものとされるものの分離を固定するシステム)と同じ土俵で領土を獲得することであったのだから。
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  ここで、インターネットのようなコミュニケーションエリアの極小と極大、それに送り手と受け手の反転運動を同時に視野に入れたシステムが発達してくる中で、例えばミニFMが獲得してきた成果と可能性を捉え直すことには意義があると思われる。ミニFMは既に、放送エリアという狭い地域性に係わりながら、同時に、特定のテーマ(プログラム)に集約する非地域的なコミュニケーションを作り上げ(ここに電話線によるコミュニケーションが重ねられる)ている。


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