Workshop 1994
Guest Artist: PH STUDIO
PHスタジオ
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私たちは、今回のプログラムに参加して、主にふたつのことを行いました。ひとつは、私たちのここでの生活と、話し合ったこと、学んだことを記録化していくこと。なぜなら、このワークショップがすでにアースワークであることを皆さんに知って欲しかったからです。
もうひとつは、それを受けて具体的なひとつのイメージを提出すること。この計画に対して感じたリアリティを示そうと考えました。

具体的なイメージの提案
 ○ フネのプロジェクト
  ダム工事に伴い切断される様々な樹種の木材を集成し、巨大な船型を制作します。湛水実験時に、水位の上昇に伴い船型は浮かび上がり、山頂もしくは山肌に設置されます。実験以降は水位が達したときのみ浮上します。ちなみに、最終設置レベルを237mにすれば、100年に一度に予想される洪水時のみに浮上することになります。
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 ○ 美しい集落のためのプラン
  撤去予定の美しい集落を鋳型にして内部にコンクリートを打ちます。強度が伴わないので、ゆっくりと積層させます。内部には容易にコンクリートが剥離できるような処理(たとえば、ビニールをまく、ウレタンを塗布する)をします。外壁面を壊した後、状態が悪ければ、美しく見えるように処理を施します。クズ科の植物などの植生に任せることも可能かもしれません。
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 ○ 大谷の湿地教育園のためのプラン
  大谷に計画されている湿地園をより身近なものにするために、いくつかの仕掛けを考え設置します。基本的には一方的に人間が観察するのではなくて、こっそりとお邪魔するような空間になるよう心掛けたいと考えています。

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D.point 解説
  灰塚ダム水没予定地域では、再建地への移転に伴い周辺環境が徐々に変化している。そこで、これから劇的に変わりつつある地域の景観を記録・投影していくことが重要であると考え、そのための定点観測地点を設置することにしました。 定点観測地点は9カ所、特に環境が変化すると思われる場所や景観的に優れている場所を選定しました。この定点観測地点を「D. Point」と呼びます。
  「D. Point」のDには Document(記録)、Discover(発見する)、Distance(距離)、Direction(方向)、Dissapearance(消失)、Discussion(議論)、Dear(親愛なる)などの意味が込められており、これから様々な人々が関わりながら新しく生まれ変わろうとする灰塚エリア(三良坂町、吉舎町、総領町)の開かれた場の始まり(=Door)を表している。


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