Workshop 1995
Guest Artist: TSUDA Yoshinori
津田佳紀
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自由テレビ-キャンプ公園構想
 1) 概要
  経済の再活性化を目指し規制緩和に取り組む傾向は日本国内のみならず、世界のあらゆる国、自治体等で強まりつつあります。例えば国際空港の周辺に安価で広大な土地を持つ国では、そのエリアを貿易特別区として関税をかけずに商品の取り引きがおこなえるようにして、貿易、物流産業の振興をはかっています。
さて、日本には大変厳しい電波に関する法律があり、個人が電波を発信することは規制されています。確かに、情報化された現代の日本において人口密集地で強力な電波が無秩序に流されれば危険な状態になるかも知れませんが、この法規が環境の異なる他の地域にも全て適用されているのは、必ずしも妥当とは言えないのではないでしょうか。 例えばこの灰塚ダムでは、河川敷が水没していない期間、そこに居住する人は皆無であり、特に他の通信や放送に悪影響を与えない範囲での小規模な通信は可能ではないでしょうか(勿論、法的にクリアしなくてはならない問題も多々あります──このエリアを特定の周波数帯に限り微弱電波の送受信可能地域として認可させるとか──)。しかし、現実には高速道路のトンネル内でのFM放送とか、テレビ局がマラソン中継に使用する電波の送受信など特例的、あるいは他の法的概念により可能となった例も多々あります。
具体的にはこのエリアに、微弱電波の送受信可能なキャンプ場、或いは遊歩道を構築する計画です。通常キャンプ場ではテントやキャンプ用品の貸出をしますが、それにくわえてトランスミッター(特例許可範囲のもの)や小型テレビ/ラジオ、電源装置の貸出もおこないます。それらを借りたキャンプ客は自分のテントを簡易スタジオにして独自のプログラム(ライブ、映像作品、音作品、ビデオパフォーマンス等)をオンエアし、互いにエアチェックしあいます。ときには検波器等でお互いのテントの位置を探しあい、そこへ出向いて行って、直に会って話したり友達になったりすることも可能です。
また、現在ではメディア・アートやコンピュータ・アートなどのアートフェスティバルやコンファレンスは、ほとんど大都市周辺のコンベンションセンターやアートセンターでおこなわれています。しかし将来的にはこのキャンプ場のようなロケーションで各アーティストやエンジニア、キュレーター等が互いの作品をナロウキャスティングによって、オンエアしあうというのも新しいタイプのアートフェスティバルのあり方として、面白いのではないでしょうか。
 2) 制作とデモンストレーション
  場所: ふるさとセンターからアースワーク公園にかけてのエリア
  制作: 上記のエリアに、4セットのトランスミッター、テント、ビデオデッキ・カメラ、アンテナ等を設置します。また、それらのトランスミッターから送信(微弱電波による)するためのプログラムを取材、編集、制作します。
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  デモンストレーション
  1: 特定の日をきめて、これらの屋外スタジオからテレビ映像をオンエアします。観客には当日、小型テレビを貸し出し、遊歩しながらエアチェックしてもらいます。
  2: 大榎淳さんとのコラボレーション
灰塚再建地とリストアステーションをテレビ電話等で結んでパフォーマンスを行います。


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