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灰塚ダムアースワークプロジェクトにおける私の基本的な考えはこの二つを中心に成り立っています。
- Sky Land&Sea Land(空中庭園と海上庭園)
ダム建設以後水没する樹木や草花等を空中に持ち上げることによって、当時の姿を維持しながら、かたちを作ります。また、人々に自然の保全の重要さを呼びかけることも大切なポイントです。
- Memorial Openair Hall(野外記念ホール)
失われゆく水没地域の生活と歴史的事実や出来事を、記録・保存する機能を持ちます。
同時に古い昔に村の共有空間として人々に活用されていた丘の上を思い起こしながら、地域の祭りやイベント、コンサート、会議などを開き、さらに休息の空間としても機能させることが基本的なねらいです。
ホールの東西南北の壁(へき)には、それぞれその上部に小さな穴がありますが、その穴を通して、その方角の風景が直接眺められるようになっています。風景はこの小さな穴を通して眺めることで人をより強く引きつけ、スリリングな感動を生みだします。
- 穴観音
ダム湖に沈んでしまう穴観音。同時にその説話も失われ、この地に住んでいた人々の歴史性もまた一緒に失われることになるでしょう。私はこれについて考え、これをもう一度再生しなければならないと考えました。
穴観音は原形をそのまま維持して、ビデオカメラとともに大きなガラス管で密封し、水の侵入を防ぎます。その画像は、水面の上に用意したウォータースクリーンに投影されます。
穴観音は原状をとどめたまま、人々の見る前でダム湖の上に幻想的な姿を浮かび上がらせ、この時、女性のかぼそい声が穴観音の説話を語り始めます。 |