Workshop 1996
Guest Artist: PH STUDIO
PHスタジオ
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ダム湖とともに消える森
  灰塚ダム工事に伴いおよそ188haの森林面積が水没する。推定すると20万〜30万本の植林された木が伐採されることになる。これらの中にはもちろん用材もあるが、大半は放棄(または他利用)される。灰塚の例ではないが、山に火をつけて処分するケースもあるそうである。
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  こうした状況のなか、この伐採される木を利用して何かできないかというのがこのプロジェクトの始まりである。民家や工場の移転が進行する中、最後に森の引っ越しについて考えてみようというのである。

プラン
  60メートルの大きないかだ状の船を伐採される木を使ってつくる。それは地上ではもちろん動かすことはできないが、堪水実験のときに水位とともに浮上し、最高水位まで引き上げられる。実験後は水位が下がるので、この船は新しくできた山の中腹か山頂に取り残されるというプログラムである。
このプロジェクトの目的のひとつはこうして実際に船をつくっていくことだが、タイトルに船をつくる話とあるように、船をつくるまでの様々な過程を楽しんでいこうというのが本意である。この灰塚アースワークプロジェクトが新しいコミュニティーカルチャーをめざしているように、できるかぎり現地の人々と共に考え、作業していきたいと考えている。
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  木を切ること、運ぶこと、皮を剥ぐこと、制作のための準備小屋を作ること、諸設備を整えること、船本体を制作すること、実験後陸揚げしてからの使い道について考えること等々。
こうしたすべてをワークショップとしてとらえ、毎年少しずつでいいからプロジェクトを進行させていきたい。

おおまかなスケジュール
  1994年 秋、現地にて船をつくる話のファーストプランを発表
12月、「森の輸送 船をつくる話」としてプランをまとめる
1996年 9月、プロジェクトのための、森林、木材加工等についてのヒアリングを現地にて行う
10月、1/12の構造モデルを現地にて制作
「船をつくる話 1996」をまとめる
1997年 「木を運ぶ」ということをテーマにワークショップ
(1996年秋に、総領小学校と、三良坂の一部の住人への説明は行った)
1998年 木材の本格的な収集、皮剥きのシステムも確立
制作のための宿泊施設等の整備
1999年 船の制作開始
2000年 船の制作(ワークショップ)
2001年 浮上したあと設置される場所の基礎工事
2002年 堪水実験
2003年 設置


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