各ゼミ紹介
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岡崎ゼミ
 このゼミは、さまざまな議論を通して、それぞれが個別のアプローチを行うという方法をとっています。
 基本にあるのは、環境とか町とか工事とか住民とか、大きなことばから入るのではなく、まず学生それぞれが、この、はじめておとずれる灰塚という場所の中で、まず自分たちが行う行為、制作という個別のアプローチを通して、この環境のリアクションを感じ取り、自分たちの思考や作品を考えなおす契機とすること。そして結果的にその作業のプロセスを通して、この環境のなかに、いままで定義されたり、主題化されたり、意識されなかった、つまり、コトバとして人々の口にのぼらなかったネットワークが生みだされるのではないか、という思いで、共通しています。
 たとえば、20年100年すぎて、ふりかえってみたときに何をわたしたちは思いだすでしょう。あるいは100キロ、10000キロ、10万光年離れた場所から、いま、ここで行われている事柄はどう思い出され、語られるのだろう。そう考えたとき(つまり時間や空間のスケールをかえてかんがえなおしてみたら)日頃みなれた日常のなかで、ほんとに大事なものは、むしろふだん見えないところにあるのではないか、ということにも気づかされます。
 このふだん見えない、気づかないけれど、ほんとうはとても大事なもの、それを感じる仕掛けを、このゼミの参加者、それぞれが、さまざまなアプローチで考えだしたということが、いえると思います。
担当 岡崎 乾二郎 
助手 福井 裕司 

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堀ゼミ - EAR OF THE EARTH PARK(地球の耳公園)
アースワーク実験公園(吉舎町・知和地区)
 一面に水田が広がっていたダムエリアは耳の形をしている。
 訪れた人が地球の声に耳を傾ける場所である。否、地球が人間の営みに耳をすましている場所である。
 この場で、アースワークを実験的に行なう広大な公園が計画される。そして、持続的に様々な作品がこの場で制作され、何らかの痕跡が残される。
 あたかも放置された田に年々植生が変化して繁茂しているように。
 もし、作品が一時的なもので消滅してしまっても、その土地に新しい記憶が刻まれる。
 その結果、随時、作品が積み重なり、風景が変わり、新しい公園がつくり出されていく。
 このアースワークサマーキャンプで、すでに13のプロジェクトが実施、あるいは、計画されたことになる(堀計画案は「耳星座」「パノラマ広場」「耳公園展望台」「ライン植栽」「ピアス広場」)。
担当 堀 正人 
助手 助川 大 
今田 栄 

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吉松ゼミ - Master Plan(三良坂町ダムエリア全体計画図)
水滴公園(ダムに接する下流部分、工事現場跡地の整備計画)
ダムに接する下流部分に予定されている工事現場跡地の整備計画。遅くなった流水速度に対し、さらに河川断面に微かな段差を設けることによって、アクセスしやすい親水公園とする。
ダムに木を植える(ダム堤体)
テラコッタダム…巨大な植木鉢を並べる案−木のメンテナンスが考慮されている
竹 林 ダ ム…竹を欄干の外側に並べる案
藤 棚 ダ ム…両側の歩道部分を歩道用欄干を兼用したパーゴラで覆う案
桜の浮島(原石山修景計画)
骨材の採取場所となる原石山を必要な骨材量を確保しつつ、先端部分が離れ小島になるように中央部分を常時満水位ぎりぎりまでカットする。
無縁墓地
水没地の木(タラヨウ)を移植、手前には2本の若木が植えられる。3本の木の周辺には無縁仏の数(271)だけ住民参加のもとステンレスワイヤーが立てられる。
ダム湖畔の景観形成
ダム湖北側の山は、桜、もみじ、山茶花、つつじ、椿など1年を通じて、景観が楽しめるように森林計画を施す。
担当 吉松 秀樹 
助手 西村 紀一 

各講師略歴
岡崎 乾二郎 美術家
 1955年 東京生まれ
 1982年 第12回パリ・ビエンナーレ
 1986-87年  ACCの奨学金により合衆国滞在
 1989年 ユーロパリア’89現代日本美術展/ベルギー
 1989-91年 美術評論誌「FRAME」(第1〜3号)編集執筆
 1990年 トリニティ大学芸術学部特別招待講師
 1994年 メルセデス・ベンツ日本 ガスコーニュ・ジャパニーズ・アートスカラシップにより渡仏
 1994-95年 戦後日本の前衛美術展
●  南天子画廊、ヒルサイドギャラリーなどで個展多数
●  8ミリ映画『回想のヴィトゲンシュタイン』、コンピューター・アート・ワーク『Randam Accident Memory』製作のほか、ファーレ立川アート・プロジェクト(1994年)、イラストレーション、評論など。
●  最近では、ICC(Inter Communication Center)でのワークショップ
●  横浜上大岡での野外(屋上)彫刻作品設置などがある。
福井 裕司 建築家
 1967年  仙台生まれ
●  東京芸大建築科を卒業後、ロンドンのAAスクール、ロンドン大学大学院卒業
●  1996年度サマーキャンプ助手、ワークショップではアメリカ人作家アレン・フィンケル氏の通訳兼助手を勤め作品実現に貢献
●  現在、東京芸術大学建築科助手を勤める

堀 正人 建築家
 1957年 新潟生まれ
 1980年 東京芸術大学美術学部建築科卒業
 1982年  同大学建築科修士課程修了
 1982-90年  株式会社磯崎新アトリエ勤務
 1984-95年 スペイン、バルセロナに住む(主に、オリンピック施設・スポーツホ−ルの仕事に従事)
 1991年 バルセロナにて独立
 1995年 日本に拠点を移す
 1996年 堀アーキテクツを開設
●  現在、多摩美術大学 非常勤講師
●  阿蘇町農村公園アートプロジェクト・コンペティション 最優秀賞(1996年)
●  バルセロナの日本レストラン2店、日本料理『石庭三彩』、鉄板焼『剣』
●  伊藤鉄工、川口市のショールームなど
助川 大
 1974年  東京生まれ
●  多摩美術大学建築科卒業
●  卒業制作のテーマ=東京・資本主義・定年・丸の内         
●  1997年より堀氏の手伝いをはじめる
今田 栄
 1970年  広島生まれ
●  多摩美術大学美術学部彫刻科を卒業
●  1995年度サマーキャンプ参加以来、ワークショップでの助手作業、アースワークスクールでの手伝いなど様々な局面で協力をしてもらう
●  現在、広島市立大学芸術学部彫刻科ティーチアシスタントを勤める

吉松 秀樹 建築家
 1958年 神戸市生まれ
 1982年 東京芸術大学美術学部建築学科卒業
 1984年 東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻修士課程修了
 1984-87年  株式会社磯崎新アトリエ勤務
 1987年 アーキプロ設計事務所設立
 1987-91年 東京芸術大学美術学部建築科助手
●  東海大学講師、国立音楽大学講師、千葉大学講師、IMI講師を歴任
●  SD、建築文化、JA、新建築、GA JAPAN、10+1、住宅特集などでの執筆多数
●  ICC(Inter Communication Center)での『海市』展でのワークショップ担当
●  本年「熊本アートポリス」での建築物が完成予定(98年竣工)
西村 紀一
 1964年  東京生まれ
●  多摩美術大学建築科を卒業後、ロンドンのAAスクールを卒業
●  1996年度サマーキャンプ参加、水没する橋をみるための橋(記憶し、かたちとして再現するなど)のプラン作成では、フィールドワーク作業と野外に作品を設置するところまで実現
●  現在、東京において専門学校講師を勤める


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