企画・概要
サマーキャンプシステム
基本的に参加者は全員講義を受講してもらいます。特に灰塚での自然環境、ダム工事に伴う緑化などのビオトープ的試みについてなど、作家・建築家の方々とともに灰塚という場所や歴史、ダムの状況について学習します。
また本年度は、講師の担当町を分け下記のような依頼項目を設け、ゼミ形式でキャンプをおこなってもらいました。講座やゼミでの意見を参考にしながら、任意の場所や情況に対しゼミ単位あるいは個人で、具体的なアイデアを出し、ディスカッションや試行錯誤を経て、オープンスタジオでの展示・発表をおこないました。
基本的に、ダム周辺整備メニュー、橋、道路などの具体的検討課題をきっかけとして、主には地元の住民との対話や交わりを発展させていくすすめかたを希望しております。
ただし、あくまでこれらの課題はサマーキャンプ期間中での演習課題であり、きっかけとして利用するにすぎません。突飛な発想やその実践、実現は不可能でも魅力的でユニークな提案なども期待しております。
各町共通事項
  1. 調査と提案発表の最低2つの段階で、なんらかの住民との対話をもてるすすめ方を期待しています。勉強会、インタビューほか、相手は一人でも構わないから、課題としてあげる場所に直接関係ある人の気持ちを聞き、その人には自分はどう考えたかを伝えることを、参加者にやらせてください。
  2. 具体的にどういう方法でやるかは参加者に考えてもらう。住民のリストアップや引き合わせ、必要資料の手配など準備は町(各町担当)がやります。
  3. 講義で使用する教材調達およびアシスタントとして、各町担当者がつきます。
  4. このほか、灰塚ダムに共通に関係する事柄(課題)については別途打ち合わせの場を設けますので、その取り組み方などを協議できるようにご配慮願います。

各町担当
三良坂町 − 吉松秀樹氏(建築家)
吉舎町 − 堀正人氏(建築家)
総領町 − 岡崎乾二郎氏(美術家)

講座内容
灰塚ダム周辺の生態や環境についての説明、また上に掲載している図のように各町の状況に即した現状についての講義となります。
【講師】 建設省土木研究所環境部緑化生態研究室 主任研究員 日置佳之(ビオトープ関係)
     栗本修滋(環境・植生) 桑田健吾(生態系)
【特別ゲスト】 岡部明子(建築ジャーナリスト) 小林晴夫(Bゼミ副所長)
        毛利義嗣(高松市美術館学芸員)
【各町の状況について】 伊達浩史(三良坂町) 矢吹正直(総領町) 平岡淳(吉舎町)

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各種イベントなど
最終的にはオープンスタジオでの発表が中心となりますが、本年は、シンポジウム・『地灸』をはじめとしたイベントなど数多くの催しがなされました。

総領町検討課題メモ『総領町の周辺(環境)整備の方向について』
アースワークプロジェクトについて
  1. アースワークプロジェクトを最大限活用して、世界的にも注目される整備(美しいまちづくり)をしたい。
  2. アースワークプロジェクトは、単なる芸術活動ではなく、芸術を活用したすぐれたまちづくりと考えている。
  3. またアースワークプロジェクト以外には、このエリアを世界的に注目されるエリアにすることは不可能である。
  4. そして自力で整備する資金を持たない総領町としては、建設省の協力が最大限引き出せるアースワークプロジェクトの展開が、不可欠である。
整備の内容について
  1. 出来ればこの灰塚ダムエリアを《県民の森》として整備する運動を3町で展開したい。
  2. 各町が整備する施設の基盤を維持する強力な施設が必要。
  3. その場合《アースワークプロジェクト》は、強力な武器になり得る。
  4. 副ダムを中心にしたエリアを《川の楽校》として整備する。
  5. 田総の里付近の《アースワーク公園》整備。
維持管理について
  1. 財団法人総領町振興会を中心に、田総の里や木屋地区住民を活用し、地元に金が落ちる方向を模索する。(維持管理担当)
  2. アースワークプロジェクトを第三セクター方式で組織し、自立可能な組織を設立したい。(戦略的展開担当)

吉舎町検討課題メモ
基本事項
  1. 基本は再建実行計画及びフォローアップ計画の事業張りつけを実現させる方向で行く。
  2. アースワークプロジェクトは、単なる芸術活動ではなく、芸術を活用したすぐれたまちづくりと考えている。
  3. またアースワークプロジェクト以外には、このエリアを世界的に注目されるエリアにすることは不可能である。
  4. そして自力で整備する資金を持たない総領町としては、建設省の協力が最大限引き出せるアースワークプロジェクトの展開が、不可欠である。
     よって、ここで一応、吉舎町行政の灰塚ダムに対するスタンスを確認しておく。
     吉舎町は、次のとおり周辺整備事業に対する基本スタンスがあると言える。
     (1) 町の出資は極力なくしたい。
     (2) 維持管理費もなくしたい。
     という2点に集約されると思う。
     しかし、見方を変えれば、この2つをクリアーしさえすれば、ないしは、納得のいく回答を出せれば、結構いろんなことが可能であるともいえる。
  5. アースワークプロジェクトの中で、地元の意思の尊重が良く取り上げられるが、吉舎町では地元の意思を聞く・話し合うシステムができていない。
     これから作りだす必要があり、当面行政主導形で意見を吸い出す、ないしは確認をとるような形態をとることとなる。

 
三良坂町検討課題メモ
基本事項
 三良坂町は灰塚ダムの堤体が建設される町であり、ダム建設によって最も環境が変化するエリアを有している。
 またダムエリアの再建計画に沿って、トム・ヘネガン設計によるコテージや集会所などがある「ハイヅカ湖畔の森」など既に一部利用が開始されているエリアもあり、最大の生活再建地である「のぞみが丘」もほぼ整備が完了するなどダム完成後のビジョンがある程度見えかけている地域でもある。
 しかし、ダム堤体周辺整備やダム完成後の景観形成イメージにおいては未決定であったり、未検討であったりする要素も数多く残されている。
 このゼミでは、三良坂町より具体的にあげられた検討課題をもとに自由に着想や構想を拡げ、夢がありかつリアリティーのある案をワークショップとしてまとめあげることを課題とする。
 短い期間であるが実施可能な素案をまとめることを目標としているため、できるだけ分かりやすい表現をおこなうことを心がけたい。
 ゼミは「ダム堤体を含むダム湖とその周辺環境整備に関する検討をおこなうチーム」「橋や法面、道路といったこれから建設されるダムエリアの景観要素に対する提案をおこなうチーム」「のぞみが丘や湖畔の森に予定されている計画やサイン計画を検討するチーム」の3つに分かれてサーヴェイをおこなった後、討議をおこない共同で案を作成する。
 参加者は3チームのどれかに必ず属するが、他チームへの参加や個人での提案も時間の許す限り行なって欲しい。


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