概説《テキスト+写真 No.2》(アートスフィア灰塚 '98・中谷ワークショップ) Text Photo
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実は水没予定地で見つかった、竪穴式住居址です。本当の考古学的遺産ですが、調査後水没の運命にあります。この上には移転前まで民家があったのですが、もしかして遠い親族関係だとすると、大変気の遠くなるような歴史をお持ちです。
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さてこちらは健在の神社です。総領町の木屋地区にあったものですが、この地方の村社の雰囲気を良く伝えています。
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このような何気ない神社も先の近代的な神社と比べると、学術的な価値以上の価値を秘めていそうです。つまり巧みな環境装置としての価値です。
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同じ神社の神楽殿で干されていた、ハーブです。美しい風景ですが、こういう風景を価値づける言葉は、まだまだ貧弱だと言わねばなりません。
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さてこちらは黒目のアースワークスタジオの天井です。元中学校であったものがFRP工場になり、廃業の後スタジオとして再生しようとしているところです。講堂の天井は、大空間を木造で架構するため、イギリス起源のキング・ポスト・トラスが用いられていました。舶来のありがたい技術というところです。
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ところが同じ元中学校のはがれた壁を見てみると、昔ながらの木舞い下地が現れてきます。先の西洋伝来の技術とこういう昔ながらの技術が、同居していることこそ、貴重なことなのです。いずれも不断は見えない部分なのですが、建物の歴史的なリアリティーというのはえてしてこういうところに潜んでいるのです。
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また話は変わります。これは山中にあった砂防ダムです。洪水などによる土砂の移動を防ぐために設けられた小規模なダムですが、これもまた近代化遺産の一つです。
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でも近代的なものを遺産として登録するには、近代がすでにいったん意味をなくしていることが必要です。そうしないと単に現状を肯定しているだけですから。するとこの砂防ダムの上と下では明らかに植生が変わっています。良し悪しの判断はつきかねるのですが、上流ではセリが繁茂していい感じです。このように第二の風景を作っているという点で、初期目的は無くなって、新しい価値が見いだされようとしている感じがします。


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