朝山万太郎家フロッタージュ(拓本)計画(アートスフィア灰塚 '98・中谷ワークショップ)
よく建築史という学問では建物の実測調査に拓本を用います。拓本によって細かな装飾などを直接写しとるのです。通常は装飾、碑文等に限られている拓本の使用ですが、昔から建物のすべての面に適用したら面白いだろうに、と思っていました。なぜなら拓本は美術に言うフロッタージュと原理的に同じだからです。そういうわけでワークショップ参加者全員で、とある民家の御協力を得て、壁一面の拓本と、おもいおもいの拓本をとってみることにしました。大変迫力のある作品に仕上がりました。参加者と民家そのものの紙一枚を隔てながらの共同作業です。
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総領町上野にある美しい民家です。朝山万太郎氏の所有で大正期のものです。2棟が並んだ形式で妻を見せています。左側が納屋、倉、右側が母屋、両者をつないだ庇があります。今回の第一の対象はこのつなぎの部分です。
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角から見たところ。
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裏庭には先祖代々のお墓が、近世期から一列に並んでいます。
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墓へのアプローチに象徴的に植えられた杉。自然の門です。
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つなぎの庇樋の詳細です。竹を巧みに使っています。樋は鎌で軒につながれていました。大変美しいブリコラージュです。
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倉妻面にぽっかりと空いた木舞窓。秀逸なデザイン感覚を感じます。ちなみに朝山さんの補修の結果だそうです。
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別の部分の窓を室内から見たところ。
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こちらがつなぎの拓本の対象となったところです。
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母屋の小屋裏に上がってみると、手斧ではつられた見事な栗の木がいぶされていました。ダイナミックです。大正期にこんな古風な技術が残っていたとは驚きです。
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コンニャクを越冬させるための部屋の天井詳細。
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さて拓本の展示会における様子です。
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その詳細です。壁のテクスチャーが、別種の価値をもって立現れてくるようです。
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裏側には、おもいおもいの拓本を並べました。手前のは肥桶です。


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