大鹿智子作品+朗読(総領町議場)
マルグリット・ユルスナール原作
『死者の乳』より

▲ 画像をクリックするとお話のつづきが出てきます。

怖気づいた兄たちはこの最後の願いを叶えることを承知して、乳房の高さのところで二つの煉瓦の分だけ隙間を作りました。すると若い女はこう呟いたのです。
――お兄さまがた、煉瓦をわたしの口の前においてください、死人のくちづけは生きている人を怖がらせるものですものね。でも眼の前には隙間を残しておいてね、お乳が子供の役に立っているか見届けたいのです。
01 02 03 04 05 06 07 08 09 10