地灸
1999年8月14日(土)
総領町木屋地区 
チーフ:小田 貴史 
■□ 地灸とは
「地灸」は「大地にお灸をすえる」考えから生まれたインスタレーション(野外の仮設展示物、そこの土地を意識した作品)です。1996年から毎年行われるようになりました。
ダム建設で休耕地になってしまった土地の草を集めてお灸を作って、地元の方とキャンプの参加者が一斉に点火して完成します。点火されたひとつひとつのお灸からは白い煙がもくもくと立ちあがって、山の谷間や木々の間にけむりがながれこんで、あたり一面が白いカーテンをいくつも重ねたような幻想的な景色ができあがります。草から煙を出す単純な出来事なのに、みなさんは真っ白になった地灸の廻りを歩き回ったり、遠くで煙の様子を眺めたり、一所懸命に濃い煙を出そうとしたりと今までは気に留めてもらえなかった場所が楽しむところに変わりました。集めた草たちはそこにあった草たちですから、隣のお灸では出る煙の匂いや燃え上がりからがまちまちなのも魅力と思っています。「地灸」は、畑〜休耕地〜再生のメッセージと新しいことを生むことの痛みと治療、これから別の役割を背負ってもらう応援の意味が込められているのです。

24.4KB
数日前までは草が生い茂っていた場所も、処理の仕方によっては別の要素が生まれるのではないでしょうか。点火する前の「地灸」にも規則的な並びと有機的な敷地の曲線の対比を楽しめてもらえたらと思っています。

5.4KB

■□ 今年の地灸
Zoom!
地灸・配置図 
夕方に霧の中にいるような・・・「地灸」が今年は総領町で行われました。
毎年ダム建設によって使われなくなった畑をつかって行われてきて4度目になります。
地元では雑草の処理やセツブンソウの保存のこともあって、草刈りは地元の方とボランティアの方と一緒に、さらに草刈りのプロフェッショナルな方でたくさんの草が集めることができ、2tトラック1杯につき1個のお灸が約40個が揃いました。
草が生い茂る場所がきれいに刈り取られて、まえの平らな畑の跡に円錐形のお灸が規則的に揃って配置されて、点火によって辺り一面を真っ白な場所を作り替えて、翌日には地面に黒いお灸の跡が転々と残る。「地灸」は大地の再生とダムに関わる人のイベント的につなぐ役割を果てしてゆけたらいいと考えています。

10.2KB
その時々の風に流れる様子。山々に囲まれたこの場所をひとつにつなぎ、煙たちは山の稜線にとけていきます。奥の方は歩くこともできないくらい周りが真っ白になります。

12.0KB
煙の様子を見守る中谷さん。木の棒で草を上に横にと燃えているところにのせると、あとはずっと煙のままお灸が燃え尽きます。半ズボン以外は軍手に作業棒、立ち位置といい完璧です。

地灸の作り方
地灸の作り方


■   ← →