地域とのつきあい実習
8月6日(金)−8月14日(土)
講師:栗本 修滋+杉本 隆 
■□ 栗本+杉本ゼミ成果:「地域とのつきあい実習」
(1)課題の整理(8月6〜7日)
(2)提案づくり(8日〜9日)
(3)発表会(9日夜)
(4)湿地と周辺制作(10日〜11日)
(5)成果
(6)神社の森のこと−まとめにかえて

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(6)神社の森のこと−まとめにかえて
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  地元の人に聞いた話では、神さまは神社に宿るのではなく、森に宿るそうです。その地域の最も大きい木に降臨し、森に宿り、神社にお出ましになるそうです。そのため、神社を再建しただけでは、神さまはお出ましになりにくいのです。森を作り、大きい木に育てていかなくてはならないそうです。地域で人々が共同して生活するということは、共同して生活することのよろこびと意義を地域の人々が認め合っているからだと思うのです。地域社会は人々の思いが一つになり、お互いを認め合うことの重要性を長い歴史の中で見いだし、村の神社を築き護ってきました。ダム事業によって人々が新たな土地に移り住む時、人々は新しい共同社会のシンボルとして神社を建てました。神社軸を中心としてそれぞれの人家や集会所などの共同施設を配したそうです。新しい共同社会の名称ものぞみが丘としました。
さて、神社の森に戻ります。私たちがこの森に貴重植物の移植の提案をした時、地元の人々に暖かく受け入れてもらえました。それはちょうど神社の森を作りあげていくところだったからです。神社の森の計画の中で、貴重種の世話も考えようということになりました。そこで神社の森の整備計画案を考えて、提案させてもらいました。地元の人の顔を思い浮かべながらの作業で、緊張します。のぞみが丘は山を切り開いて造成しましたので、身近かに行ける手ごろな山はすくないのです。神社の森がもっとも行きやすい山です。ですから、神社の森に行けば、かつて生活していた山に生えていた植物に出合えるようにしてはと思いました。もちろん神さまの宿る聖域や、将来大きくなる木も必要です。
最後に神社の森ではどうしても生育させられない植物群がいました。かつて、ここの人々が住んでいた場所は、江の川の流域で水に恵まれていました。そこには湿地性や水生の植物が多く生育していたのに、これらの植物の引っ越し先があり ません。そのことを地元の人に一言いっただけで、神社の森の一部に池ができ上がりました。地元の人が引っ越し先を用意してくれたのです。
今回の現地実習はこんな地元の人々の心の拠り所を提供して下さったものです。参加してくれたゼミ生が地元の皆さんの暖かいお気持ちをいつまでも忘れないでほしいと思っています。

ゼミ参加者
  小川裕紀、小鹿ゆかり、塚田悦子、市川ゆか、井上知子


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